イギリスMBA留学挑戦に向けたTips

1年のイギリスMBA経験を踏まえた経験を書きます。志望校選択、英語試験準備(TOEFL,IELTS)、面接対策、MBA生活、クラスの様子、MBA内での試験についてなどなど。

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MBA留学における異文化コミュニケーション

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私のMBA生活はグループワークの連続でした。20か国から来た生徒が喧々諤々のディスカッションを毎日する中で、私が学んだ異文化コミュニケーションのあり方について書きます。なおここでの異文化コミュニケーションはちょっと街中であいさつするレベルではなく、ビジネスやクラスできちんとやり取りをするレベルのコミュニケーションをさしています。

 

何故異文化コミュニケーションは難しいのか

 

今までの記事でも記載しましたエピソードですが、※MBA開始当初はネイティブ同士ですら会話がかみ合わないということもよくありました。もちろん各国独特のスラング、イントネーションといった問題もありますが、私は決してそれだけではないと考えました。

 

 

tomlums.hatenablog.com

 

 

私なりの答えは「各自が持っているバイアスのせい」ということです。言い換えますと、人はコミュニケーションをする際に自分なりの解釈を前提に話をしており、それに基づいた答えが相手から返ってくるという期待を無意識的にしている、というものです。

 

例えば「いいね!」と言いたいときに、ぱっと思いつく返答の仕方は以下です。

 

・Good!

Awesome!

・Perfect!

・Amazing!

・Fantastic!

・Wonderful!

・Fabulous!

・Cool!

 

これらは厳密に「いいね!」の訳として適当かどうかは問題ではありません。ただこれらは全て相手の行動に対し、ポジティブな評価を表すときに使われる言葉です。私が言われた中で思いつく返答の仕方だけでこれくらいあります。

 

例えばあなたは普段「いいね!」というときに「Amazing!」もしくは「Cool!」と自分だったら言う人だと想像してください。ただし相手は「Awesome!」と返してくるかもしれません。この場合自分の想定していた言葉と違う言葉が返ってくるため、多少脳内で修正を行い、受け入れる必要が出てきます。これはあくまで単語レベルなので容易なのですが、このギャップが文章になったら、パラグラフレベルになったら、もっと受け入れることが大変になってきます。上記の例の通り、単語レベルでも多岐にわたる言葉の選択肢があります。文章になればその組み立て方は無限大ともいえるほどのものになるでしょう。

 

先ほどのネイティブ同士ですらかみ合わないという理由がこのギャップにあると私は考えています。違うバックグラウンドで生まれ育った人同士が会話する際、ギャップが大きくなることで会話がスムーズにいかないという仮説です。書き物であれば自分のペースで読めますので、修正を図りながら理解が出来たら次にというプロセスが取れますが、会話はそうはいきません。続けていけばいくほどにギャップが広がっていく、なんていうこともあるでしょう。

 

異文化コミュニケーションはどうすれば上手く行くのか

 

当然ながらそう簡単にはいきません。私が考える最良の手は「相手とトピックについて可能な限り知っておくこと」です。

 

一番難しいのは相手のことを全く知らず、また話すべきトピックについても知らないというシチュエーションです。この状況での異文化コミュニケーションはまず上手く行かないでしょう。

 

一方でトピックについて自分なりに知識がある場合はある程度の前提に沿って話が出来ます。例えば私の場合はマーケティングブランディングであればある程度知識があり、またケーススタディーであればその前提もありますので、コミュニケーションは図りやすくなりました。ただし相手のことを全く知らないとどういう返しをしてくるのかが分かりませんので、完璧なコミュニケーションとはならない場合があります。

 

私が最重要だと考えるのは「相手のことを知っているか、自分について知ってもらっているか」です。相手の返し方も分かっており、相手も自分の返し方を理解してくれていますので、コミュニケーションはかなり容易になるでしょう。ただしこの状態に持っていくためには当たり前ですが時間が必要です。私の経験でも数カ月かかりました。一つは人数の多さということありますが、やはりバックグラウンドの違いが大きいと思います。

   

相手を知るために出来ること

 

とは言え時間をかけること以外に何か出来ることはないでしょうか。ひとつの答えはバックグラウンドを自分なりに興味を持って調べるということです。あまりにも有名なIceberg theoryがあります。いわゆる氷山の一角という話です。実際の言葉というのは氷山の山頂部分のごく一部であり、その下の海底には「経験」「信念」「バイアス」などがあります。この海底の部分をなるべく知ることでその人を理解することが出来ます。

 

この部分を知ることは非常に難しいのですが、コミュニケーションの前に出来る限り調べてみることをおススメします。簡単な例でいえばLinkedinやFacebookなど公開されている情報を見てみる、勤め先と経歴を調べてみる、出身国の文化についてググってみるなど。これが相手の思考回路を理解するのに必ずしも直結をするわけではないのですが、全くの初対面よりはかなりコミュニケーションが楽になりました。私は新しい人と会う場合は可能な限り公知の情報を知る作業をすることが習慣となりました。

 

最後になりますが、一点注意なのは国や文化、経歴によってその人となりを勝手に判断し、バイアスを掛けることとは違います。この境界線は非常に難しいのですが、自分の事前情報をもとに相手を決めつけてはいけません。参考となる情報として、相手の思考を早く理解するための材料として持っておくことです。