イギリスMBA留学挑戦に向けたTips

1年のイギリスMBA経験を踏まえた経験を書きます。志望校選択、英語試験準備(TOEFL,IELTS)、面接対策、MBA生活、クラスの様子、MBA内での試験についてなどなど。

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MBA VUCA Worldへの取り組み③Prejudiceとは?

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現代はVUCA Worldへ突入しています。MBAではこの時代にどうやってビジネスを導いていくのかを考えさせてくれました。何回かに渡り、私なりに学んだことを記載します。

 

今回はPrejudiceについて記載します。

 

Prejudiceとは?

あまり日本の英語教育では教わらない単語ですが、簡単に言えば偏見です。例えば人種で言えば、アメリカ人なら陽気なはずだとか、ドイツ人だからあの人は勤勉なはずだ、などなど。

Pre(前の)、Judgement(決断)が組み合わさってPrejudiceとなったようです。(正確な語源か分かりませんが・・) つまり前もって判断してしまうこと、という意味で物事の本質を見ないで思い込んでしまうというネガティブな意味を持っています。別の言葉で置き換えるのであればBiasが近いと思います。

 

なぜPrejudiceは生まれるのか?

我々は少なからず全員がPrejudiceを持っています。(やっていますという表現が正しいかも)というのも人間は何らかの尺度を持って物事を見ているからです。世界を「ありのまま」に見ることは非常に難しいことです。

なぜなら我々は様々な経験を積んで育ってきたからです。例えば日本(国)に生まれ、東京の学校(教育)に通い、日本の会社(企業)に勤めている人はそれだけの年輪のような経験が自身の体の中に刻まれています。さらに活発な両親(家族)のもとで、団体スポーツ(趣味)を休日は楽しむなど、他にも様々な経験を積んできています。そうなるとその生まれ育った社会でのモノの見方が自然と身についてくるのです。

 

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Prejudiceが問題となる場合

自身と同じようなバックグラウンドを持っている人々と普段からいるような場合ではなく、インターナショナルな環境に置かれたとき(MBAもそう)、このPrejudiceが大きく立ちはだかってきます。モノの見方の違いや相手に対する一種の偏見が頭もたげてきます。今までの環境が違えば違う程、最初は相互理解が深まらないことは私もクラスの中で経験しました。お互いがお互いのPrejudiceを持って会話しつづける、そんなVUCA Worldが世界中で現在繰り広げられています。しかしこれは乗り越えなければならない壁です。

 

Prejudiceをどうやって乗り越えるか

まずPrejudiceから逃れることは難しいと思います。なぜなら我々は今までの経験と無縁になることは不可能だからです。ですが自身の持っているPrejudiceに気が付くことはできます。何が自分にとっての前提となっているか、それを知ることがこの第一歩となります。Know thyselfというソクラテスの格言はまさにこのためにあります。

 

ではどうやってKnow thyselfをするかというと、大きく分けて二つあります。

 

1、Self- reflectionをすること

・自身の過去の経歴を振り返ってみること

・自分自身の価値観を突き詰めて考えてみること

・自分の行動を一つ一つ説明してみること

 

などが挙げられます。自分にとって自分自身は知っているようで、知らないということもたくさんあると思います。Self- reflectionは思ったより大変なプロセスですが、何が自分を構成しているのかを知る為には必要不可欠な試みです。

 

2、他者からFeedbackを受けること

・良い点、伸ばした方がいい点について聞くこと

・悪い点、改善すべき点について聞くこと

 

などが挙げられます。他社からのFeedbackは怖いもので、耳が痛い部分もあるかと思います。しかし結局Know thyselfするためには他者から見た自分も省みる必要があります。余談ですが私はクラスメイトからよく「must」を使うと指摘されたことがありました。言語的なセンスの問題かもしれませんが、もしかしたら「する」より「しなければならない」という文化で育ってきたからかもしれません。ポジティブに考えれば「discipline」を重んじるという解釈かもしれませんが、一方で堅苦しいという印象を与えていたのかもしれません。

 

 

以上のようにまずは自身を知ること、それが第一歩となり、自身のPrejudiceに気が付くことで、完全ではありませんがより「世界をありのまま」に見ることが出来るということです。

特にインターナショナルなコミュニケーションが必要なこのVUCA時代では重要になってきます。

MBA VUCA Worldへの取り組み②ビジネススクールの失敗

 

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現代はVUCA Worldへ突入しています。MBAではこの時代にどうやってビジネスを導いていくのかを考えさせてくれました。何回かに渡り、私なりに学んだことを記載します。

 

ビジネススクール(マネジメントスクール)はこのVUCA Worldに取り組むことができるリーダーを育てていく必要があるのですが、今まで「間違ってきたことを教えてきた」ということをまず教えられました。今回はSumantra Ghoshalというインド出身の経営者が「Bad Management Theories Are Destroying Good Management Practices」という書籍の中で指摘したものなどを中心に教わった内容を記載します。

  

企業は誰のものか?

 

企業は誰のものか?という問いを向けられたとき、よくある回答としては「資本家のもの」「株主のもの(株式会社)」のというものでしょう。それは間違っていないのですが、だから企業は「資本家(株主)の要望を満足させることがミッションである」というように今までの経営者達はビジネススクールから教わってきました。しかし果たしてそうなのでしょうか。

 

例を株主とすると、極端な話デイトレーダーのような人々も株主になります。彼らは簡単に株主であることを辞めることができます。株を売ってしまえばそれでさようなら、です。実はあらゆるステークホルダーの中でも株主は非常に離脱のしやすいポジションにいるのです。

 

しかし従業員はどうでしょうか。いくら雇用が流動的な国であっても、今日入社して明日に退社するなどということはほぼありません。なぜなら生活が懸かっているからです。その人に養うべき家族がいるのであれば、その家族だって困ります。

 

あるいは近隣に住んでいる人も同じです。都内のビルの一室の入っているような企業ならともかく、工場を持っているような企業であれば地域住民にも大きな影響を与えます。住人は簡単に引っ越せませんし、場合によってはその企業によって雇用されているなど深いつながりがある場合が多くあります。

 

このような中で「株主の利益を最大化する」ことだけを目指していたらどうなるでしょうか。従業員は不幸になり、近隣住民から反対運動が始まるかもしれません。そうすればその企業の価値が下がってしまうことは言うまでもありません。昨今注目されているCSRの考えにはこのように株主以外のステークホルダーと有効な関係をどう作り上げるか、という観点で非常に重要なものと言えるでしょう。

 

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人は科学で分析できるのか?

 

同じくビジネススクールは人をある意味科学の延長のような形でとらえ、分析をしてきました。利益を最大化するために人は数値化され、機械的に扱われてきました。その結果、人がimmoralでunethicalな行動をとるように仕向けてきました。利益を最大化するための道具、Star warsのクローン兵のような機械的な集団にビジネスパーソンはなってしまったのです。

 

ですが、当然ながら人にはMoralやEthicalな側面も非常に重要です。これらがなければ利益のために環境を破壊し、あるいは他人を踏みにじってでもよいという結論に至ってしまいます。また人間には感情があり、それはビジネスの場面でも必ず出てきます。このように人間的な側面をないがしろにしてはいけないということをビジネススクールも気が付きました。人が持つMoralやEthical、そしてEmotionalな側面もきちんと考慮に入れ、数値的に考えるだけではいけないということを教えてくれます。

 

 以上のようにビジネススクールは「株主の利益のみを追求する」「人をあたかも機械のように扱う」というような失敗を教えてきました。

 

ただし昨今のVUCA Worldにおいてこのようなアプローチは既にしておらず、より複雑なステークホルダーを意識し、また人の様々な側面に焦点を当てています。

MBA VUCA Worldへの取り組み

 

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現代はVUCA Worldへ突入しています。MBAではこの時代にどうやってビジネスを導いていくのかを考えさせてくれました。何回かに渡り、私なりに学んだことを記載します。

 

今回はVUCAそのものとは何かについて取り上げます。

 

VUCAとは

Volatility(変動的な)、Uncertainty(不確実な)、Complexity(複雑な)、Ambiguity(曖昧な)の各頭の文字を取った略語になります。現在ではビジネスシーンでも日常的に使用され、また私のMBA生活でも幾度となく耳にしたワードです。

 

VUCAとはもともと米軍で生み出された軍事用語でした。かつては大国同士が戦争をしていたのですが、近年ではアフガン戦争のような実態が見えにくいテロ組織との戦争になることが多くなりました。戦争で生き残るための状況把握はより重要さを増したということです。軍のリーダーたちは自分の部下たちを導くため、より難しい判断を日ごろから迫られるようになったのです。

 

このVUCAはビジネス界でも使われるようになりました。グローバル化やWEBの発達は今までにない競合の参入をもたらすことになり、業界の勢力図も目まぐるしく変化していきます。本の通販ビジネスであったAmazonが今やナンバーワンクラウドベンダーになったり、自分で車両を持たないUberがタクシー業界で勢力を急速に伸ばしたりと、まさにVUCA Worldになっているのが昨今です。

 

さらに地球環境や疾病なども大きな課題となっています。一年前にコロナにより、Aviation(飛行機)業界が壊滅的な打撃を受けるという予測を立てていた人はいなかったでしょう。

 

以下もう少しVUCAの一つ一つを分析していきます。

 

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Volatility(変動的な)

現在において製品・サービスの流行り・廃りはより加速しています。とにかくその場に留まっていてはすぐにおいて行かれます。例えばかつてはゲーム機を買う、ゲームセンターに行って遊ぶものであったゲームは今やスマホにインストールして基本無料、ガチャで儲けるというビジネスが主流になりました。かつてからは想像が出来ない時代です。そのスマホゲームもユーザーは気に入らなくなったらすぐに乗り換えられます。あまりにも変動的な時代となったという一つの象徴ともいえます。

 

Uncertainty(不確実な)

不確実性も確実に増しています。一度ヒットしたとしてもすぐにとって代わられるリスクを常に持っている時代です。現在は個人が自身のスキルを簡単に世に出せる時代となりました。企業がお金をかけて作ったシステムより安価なものを個人が簡単に売り出せてしまいます。

 

Complexity(複雑な)

グローバル化も大きく寄与しているのがこのComplexity(複雑な)です。現在ビジネスにおけるサプライチェーンは世界中に広まり、非常に大きなダイナミズムの中でビジネス活動が行われています。それに連動してステークホルダーも多様化しています。日本でビジネスをしていても資本は海外であったり、販売はアメリカでも製造はインドネシアであったりすれば当然現地の住民たちもステークホルダーになります。

また先ほど挙げたUberのような形態ではかつてのように企業に所属し仕事をするといった枠組みが変わりつつあります。今後もこの複雑性は加速していくでしょう。

 

Ambiguity(曖昧な)

このような状況下の中、こうすればよいという戦略や解決方法は見出すことが難しくなってきています。かつての理論やセオリーが当てはまらないケースが多発しているのです。

 

以上です。

 

ではこのVUCA Worldで如何に生き残っていくことが出来るのか、それに必要な要素を私なりにMBAクラスでの学びを活かして考えていきます。このカテゴリーの記事を今後UPする予定です。

MBA フレームワーク ZOPA、BATNA

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MBAでは色々なフレームワークやセオリーを使います。何度かに分けて、それらについてご紹介をしていきます。

 

今回は交渉において活用されるZOPA、そしてBATNAについてご紹介します。

 

ZOPAとは

ZOPAとはZone of possible agreementの略語になります。読んでの字のごとく合意が可能な領域という意味です。例えば賃貸物件を借りる際を考えてみましょう。Aさんが東京の品川区で家を借りたいと思っています。予算は9万円/月から12万円/月です。Aさんが相談した不動産仲介業者が紹介できる物件は10万円/月から15万円/月だとします。このような場合は10万円/月から12万円がZOPAになります。つまりAgreeできる領域があるということで交渉が成り立つわけです。人は日常的にこのような交渉を行っています。

 

とはいえ合意が出来ない場合もあります。賃貸の例で言えばAさんの予算が9万/月以下、仲介業者が紹介できる物件が12万円/月以上であった場合は交渉が進みません。

この場合に必要となってくるのが次にご紹介するBATNAです。

 

BATNAとは

BATNAとはBest Alternative to a Negotiated Agreementの略語になります。単純に訳すと「交渉の合意に至る最も良い他の選択」となります。少しこのままでは分かりにくいと思いますが、簡単に言ってしまえば「第一希望条件で合意に至らなかった場合に、最も自分にとって望ましい代替案」となります。

 

上記の例を続けるとAさんと仲介業者には2万円/月のギャップがあり、第一希望条件での交渉が成立しません。この際に両者BATNAを持っておく必要があります。

 

BATNAを考えるためには自分の置かれている状況を良く分析しておく必要があります。

 

例えば部屋を借りたいAさんは以下のような状況でした。

・既に他の不動産屋を何件か尋ねていたが、最低でも11万円/月以上する

・転勤(長期出向)が決まっており、一刻も早く契約をしたい

・なるべく希望地に住みたい

・最悪の場合であれば10万円/月で契約してもよい

 

一方で仲介業者の状況は以下です。

・既に空室となっており、可能な限り早く入居者が欲しい

・断られて他の仲介業者に流れては困る

・通常の最低期間契約より長く部屋を借りてもらえるのであれば10万円/月でもよい

 

 

Aさんが持っている選択肢は以下です。

・10万円/月に予算を引き上げる(BATNA

・他の仲介業者を探す

・賃貸の希望場所を変える

 

一方で仲介業者は以下です。

・他の顧客を待つ

・条件付き10万円/月で交渉する(BATNA

 

 

この場合はお互いのBATNAが一致し、最低期間契約である1年よりもさらに長い2年とすることで10万円/月で希望の物件を契約することが出来ました。

 

このように交渉は進んでいきます。大切なのは自分自身だけではなく、お互いがお互いのBATNAについて良く考察することです。

 

上記の例で言えばAさんは繁忙期のはずなのにあまりお客が来ていない仲介業者を観察すると何とか自分と契約したいという意図が見えるかもしれません。仲介業者からするとAさんは長期出向であり、しばらくは引っ越しがないであろうということが分かるはずです。

 

これらをまとめると以下のような図式になります。

 

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以上です。

MBAクラス内でもグループ間でのワークにおける交渉や実際のクライアントを相手にした場合の交渉はたくさんあります。

MBA フレームワーク Kübler-Ross model

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[: contents]

 MBAでは色々なフレームワークやセオリーを使います。何度かに分けて、それらについてご紹介をしていきます。

 

今回はKübler-Ross modelについてご紹介します。

 

Kübler-Ross modelとは

まずに断っておきたいのは、本フレームワークはクラスの中で学んだのではなく、前回ご紹介したLewin's Change Management Modelについて私が調べる中で学んだものです。ただ組織(人)の変化のプロセスとして興味深く、組織のまとめにおいても自身のメンタルマネジメントにおいても活用が可能なのではと考え、ご紹介します。

 

Kübler-Rossはアメリカの精神科医です。「死の受容のプロセス」として有名なのがこのKübler-Ross modelであり、人がショックな出来事(変化)を受け入れるプロセスについて細分化したものになります。

なおこのモデルは解説者によって多少違った言葉を使うことがありますが、言いたいことの内容は同じですのでご了承ください。

 

Kübler-Ross modelのプロセス 

このプロセスは下記のような流れになっています。

 

1、Shock & Denial

まずはショックで信じられない、という思考に陥ります。受け入れられないという意味で拒否(Denial)ということです。大きな変化を目の前にしたときに自信を守るような防御壁のようなものなのでしょうか、

 

2、Anger(Frustration)

次に来るのがいら立ちの感情です。なぜこんなことが、というように非常にネガティブな感情に支配されます。人によってはモノに当たったりするかもしれません。

 

3、Bargaining

怒りを超えるとBargaining、つまり取引をしようと考えます。この取引は原因を避けたり、あるいは和らげるための何らかの交渉、対応をしようと試みるのです。

 

4、Depression

取引も上手く行かないとなると次に来るのは落ち込みです。ショックの大きさによっては絶望感すら感じる人もいるでしょう。

 

5、Acceptance

その後立ち直った後には許容に向かって進み始めます。日本語で言えば気持ちを切り替えて、というところでしょうか。

 

Lewin's Change Management Modelとの関連

前回ご紹介したUnfreeze→Change→Freezingとも関連して考えることが出来るのではないかと私は考えています。ビジネスで起こる問題はKübler-Ross modelの対象程深刻な問題ではありませんが、プロセスは同じものをたどっていると思います。

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 Unfreeze=Shock & Denial、Anger(Frustration)、

Change=Bargaining、Depression

Freezing=Acceptance

 

この当てはめ方はChangeの段階ではまだ対象(変化せざるを得ない)の人は変化を前向きに受け入れていないという前提に基づいています。

最終のFreezingでは心理的にも受け入れが完了し、精神的にも落ち着くというフェーズになります。

 

前回お話しした新しい会計システム(IT)の導入例で、反対派だった営業の方を例にとってみます。なお経営層の意向が強く、反対むなしく導入が決定してしまいました。

 

Unfreeze=Shock & Denial、Anger(Frustration)、

せっかく使い慣れた会計システムが新しくなり、営業側へのタスクが非常に増えることを最初は受け入れられません。なんでそんなに面倒なシステムを使わなければならないの?という怒りがわいてきます。

 

Change=Bargaining、Depression

社内に対し、現行システムをしばらく延命してほしいとか庶務を雇ってその業務は外田氏にしてほしいなど交渉をします。しかしながらうまくいかず落ち込みます。その間も新システムへの移行計画は進み、いよいよ受け入れなければならなくなります。

 

Freezing=Acceptance

最終的にはAcceptし、そのシステムを学ぶことでメンタル的にも落ち着き、それでやっていこうという気になります。

 

 

このように変化に際しては人のメンタルも大きく揺れ動きます。

特にマネージャー層の方は決めたからやりなさいでは人は動きません。その人物がどういう感情変化をしているか見極め、段階に応じたサポートが必要です。

また個人としても大きく感情が揺れ動くことがあるでしょう。そんなときにこのモデルを思い出して今自分がどこにいるのか、という分析が出来れば少しは冷静さを取り戻すことが出来るかもしれません。