MBA フレームワーク Kübler-Ross model
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MBAでは色々なフレームワークやセオリーを使います。何度かに分けて、それらについてご紹介をしていきます。
今回はKübler-Ross modelについてご紹介します。
Kübler-Ross modelとは
まずに断っておきたいのは、本フレームワークはクラスの中で学んだのではなく、前回ご紹介したLewin's Change Management Modelについて私が調べる中で学んだものです。ただ組織(人)の変化のプロセスとして興味深く、組織のまとめにおいても自身のメンタルマネジメントにおいても活用が可能なのではと考え、ご紹介します。
Kübler-Rossはアメリカの精神科医です。「死の受容のプロセス」として有名なのがこのKübler-Ross modelであり、人がショックな出来事(変化)を受け入れるプロセスについて細分化したものになります。
なおこのモデルは解説者によって多少違った言葉を使うことがありますが、言いたいことの内容は同じですのでご了承ください。
Kübler-Ross modelのプロセス
このプロセスは下記のような流れになっています。
1、Shock & Denial
まずはショックで信じられない、という思考に陥ります。受け入れられないという意味で拒否(Denial)ということです。大きな変化を目の前にしたときに自信を守るような防御壁のようなものなのでしょうか、
2、Anger(Frustration)
次に来るのがいら立ちの感情です。なぜこんなことが、というように非常にネガティブな感情に支配されます。人によってはモノに当たったりするかもしれません。
3、Bargaining
怒りを超えるとBargaining、つまり取引をしようと考えます。この取引は原因を避けたり、あるいは和らげるための何らかの交渉、対応をしようと試みるのです。
4、Depression
取引も上手く行かないとなると次に来るのは落ち込みです。ショックの大きさによっては絶望感すら感じる人もいるでしょう。
5、Acceptance
その後立ち直った後には許容に向かって進み始めます。日本語で言えば気持ちを切り替えて、というところでしょうか。
Lewin's Change Management Modelとの関連
前回ご紹介したUnfreeze→Change→Freezingとも関連して考えることが出来るのではないかと私は考えています。ビジネスで起こる問題はKübler-Ross modelの対象程深刻な問題ではありませんが、プロセスは同じものをたどっていると思います。
Unfreeze=Shock & Denial、Anger(Frustration)、
Change=Bargaining、Depression
Freezing=Acceptance
この当てはめ方はChangeの段階ではまだ対象(変化せざるを得ない)の人は変化を前向きに受け入れていないという前提に基づいています。
最終のFreezingでは心理的にも受け入れが完了し、精神的にも落ち着くというフェーズになります。
前回お話しした新しい会計システム(IT)の導入例で、反対派だった営業の方を例にとってみます。なお経営層の意向が強く、反対むなしく導入が決定してしまいました。
Unfreeze=Shock & Denial、Anger(Frustration)、
せっかく使い慣れた会計システムが新しくなり、営業側へのタスクが非常に増えることを最初は受け入れられません。なんでそんなに面倒なシステムを使わなければならないの?という怒りがわいてきます。
Change=Bargaining、Depression
社内に対し、現行システムをしばらく延命してほしいとか庶務を雇ってその業務は外田氏にしてほしいなど交渉をします。しかしながらうまくいかず落ち込みます。その間も新システムへの移行計画は進み、いよいよ受け入れなければならなくなります。
Freezing=Acceptance
最終的にはAcceptし、そのシステムを学ぶことでメンタル的にも落ち着き、それでやっていこうという気になります。
このように変化に際しては人のメンタルも大きく揺れ動きます。
特にマネージャー層の方は決めたからやりなさいでは人は動きません。その人物がどういう感情変化をしているか見極め、段階に応じたサポートが必要です。
また個人としても大きく感情が揺れ動くことがあるでしょう。そんなときにこのモデルを思い出して今自分がどこにいるのか、という分析が出来れば少しは冷静さを取り戻すことが出来るかもしれません。