MBA フレームワーク ZOPA、BATNA
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MBAでは色々なフレームワークやセオリーを使います。何度かに分けて、それらについてご紹介をしていきます。
今回は交渉において活用されるZOPA、そしてBATNAについてご紹介します。
ZOPAとは
ZOPAとはZone of possible agreementの略語になります。読んでの字のごとく合意が可能な領域という意味です。例えば賃貸物件を借りる際を考えてみましょう。Aさんが東京の品川区で家を借りたいと思っています。予算は9万円/月から12万円/月です。Aさんが相談した不動産仲介業者が紹介できる物件は10万円/月から15万円/月だとします。このような場合は10万円/月から12万円がZOPAになります。つまりAgreeできる領域があるということで交渉が成り立つわけです。人は日常的にこのような交渉を行っています。
とはいえ合意が出来ない場合もあります。賃貸の例で言えばAさんの予算が9万/月以下、仲介業者が紹介できる物件が12万円/月以上であった場合は交渉が進みません。
この場合に必要となってくるのが次にご紹介するBATNAです。
BATNAとは
BATNAとはBest Alternative to a Negotiated Agreementの略語になります。単純に訳すと「交渉の合意に至る最も良い他の選択」となります。少しこのままでは分かりにくいと思いますが、簡単に言ってしまえば「第一希望条件で合意に至らなかった場合に、最も自分にとって望ましい代替案」となります。
上記の例を続けるとAさんと仲介業者には2万円/月のギャップがあり、第一希望条件での交渉が成立しません。この際に両者でBATNAを持っておく必要があります。
BATNAを考えるためには自分の置かれている状況を良く分析しておく必要があります。
例えば部屋を借りたいAさんは以下のような状況でした。
・既に他の不動産屋を何件か尋ねていたが、最低でも11万円/月以上する
・転勤(長期出向)が決まっており、一刻も早く契約をしたい
・なるべく希望地に住みたい
・最悪の場合であれば10万円/月で契約してもよい
一方で仲介業者の状況は以下です。
・既に空室となっており、可能な限り早く入居者が欲しい
・断られて他の仲介業者に流れては困る
・通常の最低期間契約より長く部屋を借りてもらえるのであれば10万円/月でもよい
Aさんが持っている選択肢は以下です。
・10万円/月に予算を引き上げる(BATNA)
・他の仲介業者を探す
・賃貸の希望場所を変える
一方で仲介業者は以下です。
・他の顧客を待つ
・条件付き10万円/月で交渉する(BATNA)
この場合はお互いのBATNAが一致し、最低期間契約である1年よりもさらに長い2年とすることで10万円/月で希望の物件を契約することが出来ました。
このように交渉は進んでいきます。大切なのは自分自身だけではなく、お互いがお互いのBATNAについて良く考察することです。
上記の例で言えばAさんは繁忙期のはずなのにあまりお客が来ていない仲介業者を観察すると何とか自分と契約したいという意図が見えるかもしれません。仲介業者からするとAさんは長期出向であり、しばらくは引っ越しがないであろうということが分かるはずです。
これらをまとめると以下のような図式になります。
以上です。
MBAクラス内でもグループ間でのワークにおける交渉や実際のクライアントを相手にした場合の交渉はたくさんあります。