MBA フレームワーク Value proposition canvas
MBAでは色々なフレームワークやセオリーを使います。何度かに分けて、それらについてご紹介をしていきます。
今回はValue proposition canvasについてご紹介します。
Value proposition canvasとは
Value proposition canvasとは自社の製品やサービスが顧客のニーズを満たしているのか、あるいは満たすための製品開発に向けて使うフレームワークとなっています。スイスのビジネス理論家であるAlexander Osterwalderが‘Value Proposition Design: How to Create Products and Services Customers Want’で発表したフレームワークです。このフレームワークはBusiness Model Canvasの一要素であるValue propositionをさらに詳しく分析するものになります。日本でもかなり有名なフレームワークですので、知っている!という方も結構いらっしゃるかもしれません。
このフレーム枠は下記のように左側にProductとして自社の製品やサービス、右側にCustomerを置いています。まずはValue propositionとして何を顧客への提供価値として定めるかを考え、そしてそのCustomer segmentを決めます。
今回は例として最近流行っている「ほろよい」というアルコール度数が低い(3%程度)のお酒を分析してみましょう。
Value propositionは手軽で気軽な飲酒体験を楽しめること、Customer segmentはお酒をあまり飲めないが少量であれば楽しみたい方、特に現在の若年層をターゲットとしています。
Customer側
Customer: Gains
顧客が得たい利益となります。「ほろよい」で言えば、気軽な飲酒でしょう。3パーセント程度のアルコールであればすっと飲めます。(人によるとは思いますが)
Customer: Pains
顧客が現在悩んでいる課題になります。お酒は弱いという人もいます。すぐに酔っぱらってしまう、気持ちが悪くなる、二日酔いがつらいなどが挙げられます。
Customer: Customer jobs
若年層や女性は飲酒に興味があっても、あまり大酒は飲みたくない、二日酔いになるのは嫌だ、ビールなど苦いお酒は嫌いなどの様々なPainsがあります。一方で食事のついでに気軽に飲むことができて、体に大きな影響を与えないのであれば、飲んでみたいという人たちもいるようです。
Product側
Product: Product and service
具体的な販売する製品やサービスを決めます。今回で言えばアルコール度数が低い(3%程度)のお酒で、ジュース感覚で飲める味にします。
Product: Gain creators
顧客にどんな利益(Gain)を与えられるか、という評価項目になります。例で言えば気軽な飲酒体験となります。ジュースを飲むように食事中にさっと飲めるお酒であれば、友人たちとの会話も弾むことでしょう。
Product: Pain relievers
製品が顧客のPainsをどうやって取り除けるかという観点になります。二日酔いにならないレベルのアルコール度数を提供することで、Painsを取り除くことが出来ます。
上記を見て頂いて分かるように、ProductとCustomer側が釣り合っていれば、その製品は売れる可能性が高いと思っていいでしょう。もしGainsが多くかみ合っても、Painsが取り除けないのであれば顧客は選択しない可能性もあります。
今回提示した「ほろよい」の例で言えば、ProductとCustomer側が釣り合っていたため、成功を収めているという評価が出来ると思います。
当然ながらこのValue proposition canvasでは競合の存在を捉えられていませんので、依然ご消化したVRIO分析などを駆使して、どうやって自社の製品やサービスの独自性と差別化を図るかということは検討をしていく必要があります。