イギリスMBA留学挑戦に向けたTips

1年のイギリスMBA経験を踏まえた経験を書きます。志望校選択、英語試験準備(TOEFL,IELTS)、面接対策、MBA生活、クラスの様子、MBA内での試験についてなどなど。

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MBA フレームワーク Five forces analysis

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MBAでは色々なフレームワークやセオリーを使います。何度かに分けて、それらについてご紹介をしていきます。

 

今回はFive forces analysis(5フォース分析)について記載をしていきます。

 

 

Five forces analysisとは?

前回ご紹介したPESTELは社会全体の状況を俯瞰して分析する手法でした。

今回ご紹介するFive forces analysisはもう一歩踏み込んで業界について分析を試みるものとなります。Michael Porterが発案したフレームワークであるため、Porter‘s Five forceと呼ばれることもあります。業界とは簡単に言うと、金融業、小売業、製造業などのようなものです。どんな業界でもこのモデルでは分析が可能です。対象となる業界がどの程度魅力的なのか?ということを図るものです。

 

PESTLに比べると知名度は低いかもしれませんが、非常に面白い分析フレームワークです。文字通り5つの要素を分析していきます。下記では例として日本の小売業を対象に考えてみます。

 

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Competitive Rivalry

真ん中にあるものが業界における競争の激しさです。どれくらいの数の企業がしのぎを削っているのか、コスト構造はどうなのか、どうやって差別化しているかなどがここで分析すべき対象です。

日本の小売業では非常に激しい争いが繰り広げられています。現在では製造小売としてPB・プライベートブランド(なお英語ではPrivate label)を売りにしているところもありますが、基本的には商材でそこまで大きく差別化はできません。コスト構造も厳しく、薄利多売で生き残っていかなければならない、非常に厳しい状況です。

ですので、私は高(High)と評価します。

 

Potential entrants

上に来るのが新規参入の可能性です。業界に成長力があるかといった将来性や参入における障壁なども検討のポイントです。

日本の小売業を考えてみると成長性はあまり多くなく、また参入に対する障壁も低くありません。特に店舗型の小売であれば、狭い日本の国土がそのハードルをさらに高くします。コロナの影響もあり人の行動範囲が大分変わったものの、やはり都市に人は密集するため、土地代は高いですし、すでに多くの小売が進出済みです。EC(通販)であればそのハードルは下がりますが、一方で現在日本市場全体の配送リソースが大きく不足しており、どうやって消費者に届けるかという問題が浮かび上がります。

ですので、私は低(Law)と評価します。

 

Suppliers

サプライヤーのバーゲニングパワーもよく考える必要があります。サプライヤーから見て供給先がたくさんあればあるほど、条件が悪ければ売らないという選択肢が出来るようになります。そうなればサプライヤーの力は増大していきます。また供給先を簡単に変更できる(Switching costが低い)場合もサプライヤーは力を持ちます。

日本市場においての供給先はうなるほどあります。しかし小売もだんだん巨大な企業連合になりつつありますので、その力関係は複雑です。また簡単に変更できるかというとなかなかそうはいきません。また日本にはサプライヤーと小売の間に卸というものが挟まりますので、卸との関係も考慮する必要があります。

ここは難しいところですが、中(Middle)ではないでしょうか。

 

Buyers

今度は逆に買う側です。サプライヤーと同じく、購入先の選択肢がどの程度あるか、簡単に購入先を変えることが出来るかという観点を考えてみます。

小売で言えばバイヤーの力は非常に強いでしょう。日本(特に都市)で言えばその店が気に入らなかったら、歩いて数分もせずに次の店を見つけることが出来ます。家電量販店などで数点回って価格調査し、購入する人が珍しくない業界です。ポイントなどで囲い込みを試みているものの、それ以上の値引きであったり、店の雰囲気がいまいちなど消費者が感じればすぐに乗り換えられてしまいます。

ですので、私は高(High)と評価します。

 

Substitutes

ピンとこない人もいるかと思いますが、代替の脅威と考えて下さい。先ほどのCompetitive Rivalryは同業他社競合状況の分析ですが、この代替は消費者の欲求を満たす他の選択肢があるかということになります。

小売で考えてみましょう。例えばなぜ皆さんはコンビニに行くのでしょうか。公共料金を払うため、郵便を出すためなどもありますが、多くは「食べ物・飲み物」を買うためではないでしょうか。言い換えれば食欲を満たすためということです。これに代替するものはいろいろあります。最大は外食産業でしょう。マクドナルドのようなファーストフード店やレストラン、お酒を飲むのであればバーでもいいのです。また最近Uber Eatsが脚光を浴びていますが、宅配(出前)もその欲求を満たしてくれます。つまり代替となるということです。

ですので、私は高(High)と評価します。

 

以上です。

 

業界を深く分析するのにFive forces analysisは非常に有用です。今回はさらっと書きましたが、実際のMBAクラスではより詳しく一つと一つの要素を分析していきます。