イギリスMBA留学挑戦に向けたTips

1年のイギリスMBA経験を踏まえた経験を書きます。志望校選択、英語試験準備(TOEFL,IELTS)、面接対策、MBA生活、クラスの様子、MBA内での試験についてなどなど。

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MBA フレームワーク Generic Strategies

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MBAでは色々なフレームワークやセオリーを使います。何度かに分けて、それらについてご紹介をしていきます。

 

今回はGeneric Strategiesについて記載をしていきます。

 

 

Generic Strategiesとは?

今回ご紹介するGeneric Strategiesは前回のFive forceと同様に Michael Porterが発案したフレームワークであるため、Porter‘s Generic Strategiesと呼ばれることもあります。このフレームワークはその企業が自身をどのような位置づけとし、競争力を生み出しているか、を分析するものです。百聞は一見に如かず、ですので下記の表をご覧ください。

 

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縦軸がScopeです。これは対象とするマーケットの広さを表すものです。上側が広いターゲット、下側が狭い(ニッチな)ターゲットになります。

横軸はSource of competitive advantage です。簡単に言えば何を差別化しているかという評価です。左側がLower cost、つまり価格の安さで勝負しているということです。右側がDifferentiation、つまり他とは違う商品・サービスを価値としているということになります。

 

これらをもとに5つの集団に分類することが出来ます。

 

Cost Leadership

左上のボックスに位置する企業は広いターゲットに対し、低価格を売りに差別化戦略を図っています。低価格を実現するための方法はいろいろありますが、基本的にはコストを如何に抑えられるかというポイントが大きいと思います。バイイングパワーを活かして安く仕入れる、効率化を図りオペレーションコストを下げるなどがあります。なお日本のKaizen(改善)という考えは常に新しい効率化を図るものとして良く知られています。

この戦略のデメリットは当然競合が自分より安い価格帯を実現するリスクが常にあるということ、そして薄利多売になりがちであり、中々利益が生まれにくいことでしょう。

 

Focused Cost Leader

左下に位置するのはニッチなマーケットに対し、低価格で販売することを強みとしている企業です。正直私はあまりこの位置に属する企業の具体的な名前が思いつきません。というのも顧客層が狭く価格も安ければ、当然ながら利益もあまり出なくなります。自然と小さい企業規模にならざるを得ないのでは?と私は思っています。

 

Differentiation

右上は文字通り差別化することを特徴とする企業、そして大きなマーケットに対して販売をするのがこのDifferentiationに属します。価格は高くても他社にないものを販売することで消費者を惹きつけることが出来ます。当然ながら価格が高い=利益が大きいわけではありませんが、コスト管理がしっかりできれば大きな利益を生むことが出来ます。

素晴らしいポジションに見えますが、現実的にはくっきりと差別化するということは非常に困難です。現在はWEB化、グローバル化によりすぐにフォロワーが生まれますので、常に差別化し続けるというのは現実的ではありません。またその差別化したポイントは消費者のニーズとマッチする必要もあります。

 

Focused Differentiation

右下は同じく差別化をキーとし、狭いマーケットをターゲットセグメントとする企業です。ニッチな需要をしっかりつかみ、それに合った他社にない商品・サービスが提供できればこの位置に収まることが出来ます。デメリットはDifferentiationと同様ですが、ニッチなマーケットほど消費者が飽きてしまったり、より強力に差別化を図ってくる競合が現れた場合に苦境に陥ります。

 

Stuck in the middle

最後にご紹介するのは真ん中に存在するStuck in the middleです。真ん中だからポジティブな意味でバランス型なのかな?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、異なります。ここに位置する企業は簡単に言えばどっちつかずの中途半端ということです。一番戦略的にはまずい状況にあると言っていいでしょう。安くも高くもなく、商品の差別化も出来ていない状況では消費者から見ると選ぶ対象にならない可能性が高いということです。早急に自社の戦略を考えないといけないポジションにあるということです。

 

以上です。

 

当然ながら各企業は常に一定の位置にいるわけではありません。時代の流れ、消費者の嗜好の変化などに合わせて生き残っていくための変化を続けていきます。

例えばユニクロ、最初は大衆向けの安さを売りにしていたと思います。この時点ではCost Leadershipでした。しかし最近は安さというより、機能性やデザインなどを売りにしています。差別化を主体としたDifferentiationになったと言えるのではないでしょうか。

 

MBAのクラスでは特定の企業の分析を行うことが多くあります。その際にどの位置づけにいるのか、本当はどこを目指しているのかといった分析をしてみると、その企業の方向性が見えてくると思います。