MBA フレームワーク Ansoff Matrix
MBAでは色々なフレームワークやセオリーを使います。何度かに分けて、それらについてご紹介をしていきます。
今回はAnsoff Matrixについてご紹介します。
Ansoff Matrixとは?
Ansoff Matrixとはイゴール・アンゾフというロシア系アメリカ人の事業経営者が考えたマトリクスです。このマトリクスは経営者が今後どのような製品・サービス戦略を描いていくかを考える指標となるものです。非常に分かりやすいマトリクスであるため、覚えればすぐに使えるでしょう。
下記の表をご参照頂きたいのですが、まず縦軸はマーケットになります。上側が既存のマーケット、下側が新しいマーケットとなります。横軸が商品・サービスです。左側が既存商品、右側が新商品となります。
Market Penetration
ボックスで言えば左上に属するものがこのMarket Penetrationになります。既存のマーケットに対し既存のサービスを展開していくというものです。Penetrationは浸透するという意味合いですので、まさにその市場にしみこんでいくという意味です。
例として高級車メーカーを挙げます。この場合は既存の市場(裕福な消費者)に対して、既存の製品(高級車)を如何に売り込むかということをより深く実施します。具体的にはディーラーを増やしたり、質を上げる、アフターフォローをきちっとするなどがあげられると思います。
Market Development
左下に属するもの、新しいマーケットに対し、既存サービスを展開していくものがMarket Developmentになります。先ほどの高級車メーカーで言うと、例えば国内だけの販売に限っていたものを、国外でも行うということです。国外の富裕層向けに自分たちが持っている高級車を販売します。多少のローカライズは発生すれど、基本的には同じ商品・サービスを国外など新しいマーケットに売るということが原則です。
Product Development
右上のボックスはProduct Developmentになります。既存のマーケットに対して、新しい商品・サービスを売るということです。高級車メーカーが既存顧客セグメントの富裕層に対して、例えば座席の製造技術を活かし、高級ソファーを作るなどが例として考えられます。多くが新しい製品製造が伴うものであり、投資もそれなりに見込む必要があります。
Diversification
全く新しい市場に新しい製品を展開するのがこの右下にあるDiversificationになります。企業にとって、経営者にとって一大決心となることが多くなるはずです。場合によってはM&Aのような大型投資を行う場合もあります。高級車メーカーで言えば、中流階級の消費者向けにモーター製造技術を活かして洗濯機を作って売るなどが考えられます。ちょっと極端すぎるたとえになりますが。
多角化という意味で事業領域が広くなり事業運営は大変になりますが、一方で特定の市場が落ち込んだ時に他でカバーできるというメリットもあります。
以上の4点がAnsoff Matrixによって導くことが出来ます。
非常に分かりやすいマトリクスですが、何をもって「新製品」「新市場」とするかという角度は分析の際に統一しておいた方が良いでしょう。
例えば新しいモデルの高級車を「新製品」とするか、「既存製品」とするかという考えについて、私は事業モデルに変更が少ないと考えますので「既存製品」だと思います。
ただグループで討議する中で「新製品」という人もいるかもしれません。
これについてはよく協議し、定義をしっかり定めてから分析に入りましょう。